網目のあるガラスって何の意味があるんだろう

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たとえばワンルームマンションやホテルの小窓など、さまざまな場所で見かけることがある網目の入った窓ガラスですが、これはその内部に金属線を封入してあるタイプのガラスを使用しているものです。それらの重要な目的のひとつがガラスが破砕した際に飛散するのを抑制することです。特に火災などの高温状態にさらされた窓ガラスは変形し、高所から脱落することによって広範囲に飛散して二次的な被害が拡大することがあります。こうした災害の拡大を防止することが網入りガラスの重要な目的でもあります。

火災の延焼被害対策である網入りガラスは、建築基準法によって延焼の恐れがある開口部に設置義務が課されています。しかしこれはあくまで網入りガラスが割れても飛び散らないという特性によるものです。つまり決して熱に強いガラスだからではないということです。というよりむしろ、網入りガラスは温度変化に対して脆弱なガラスであるといえるのです。

網入りガラスに封入されたワイヤーは金属製ですが、当然ガラスと比較して熱膨張率に相違があります。特に冬場など室内外や日光が当たる場所とそうでない場所で温度差が生じる場合、部分的に膨張した金属製のワイヤーによってガラス内部に不均衡なテンションが生じてしまい、ガラスに亀裂が生じてしまう場合がよくあるのです。高温によってガラスが破砕、飛散したときの被害を防ぐために、窓ガラス自体は熱によって比較的容易にヒビが入ってしまうというのは、なんとも皮肉なことかもしれません。ワイヤー入りの網入りガラスも通常のフロートガラスも、耐熱温度に関しては似たようなものですが、ワイヤーが入っている分割れやすいが飛散しないという特性を持つのが網入りガラスというわけなのです。

ちなみにその見た目から防犯効果を目的とした強化ガラスと勘違いされることもありますが、強度は通常のガラスと同等であり、ワイヤーも簡単に切ることが出来るものです。