何年か前の有名テレビメーカーのコマーシャルで、テレビの画面がそのまま本当の景色にうつり変わるというものがあった。テレビの映像の美しさを強調したコマーシャルだったが、私はその景色の方に魅せられた。テレビの画面がまるでどこかの窓のようで、その窓から見える景色がありありとコマーシャルに映し出されていたのだ。
こんなことをあえて得意げに言うこともないとは思うのだが、私は良い景色を見るのが大好きだ。今の住まいも窓から見える景色が良いという理由で決めたし、自宅でも旅先でも、窓が汚れていると人生を損している気分になる。
だから窓ガラスの掃除だって、誰かに任せっきりになんかしない。よく年末は家族総出で窓ガラスの拭き掃除をするなどと言う話を聞くが、うちでは天気さえ悪くなければ週末ごとに、私が家じゅうの窓ガラスを掃除する。良く晴れた週末の午前中に、私は雑巾とバケツ、そして厚手のキッチンペーパーを持って、窓の側に立つ。窓ガラス越しに見える景色を確認し、それから窓ガラス自体に神経を集中する。約1週間の間でも、結構汚れはつくものだ。内側からと外側と、窓ガラスの汚れを濡らした雑巾で拭き掃除をする。汚れが取れたら次はキッチンペーパーで水分を拭き取る。この拭き取りを完璧にしなければ、窓ガラスには雑巾の拭き跡が残り、これはこれで見苦しいことになる。窓ガラスが終わったら、窓枠、窓の桟の掃除もする。ここも常に掃除するようにしておけば、汚れで窓の滑りが悪くなるということもない。窓周辺が綺麗になると、まるで自分の未来まで見通せるのではないかと思える程、気持ちも晴れ晴れするというものだ。
仕事関係で仕方なく泊まった宿などで、汚れで曇った窓ガラスに出会うと本当に気持ちがブルーになる。そしてそんな宿は、どこも必ずと言っていいほど、繁盛していない。窓を綺麗に保つと言うことは、運気などにも関係しているのだと密かに思っている。