従来窓ガラスの場合「割れにくい」という面と「破片の飛散防止」という両方のニーズに応えるということは難しい問題でもありました。両方のニーズを満たしている窓ガラスをあえて挙げるとするならば、ガラスの中に菱型や格子状のワイヤーが入ったデザインとガラスの強化を兼用した網入ガラスでしょうね。このガラスの場合、金属のワイヤーが入っているためにガラスが割れた際に、破片が飛散するという問題がないという点が何よりも大きな特徴でもあります。ただし、太陽光などの熱を受けると金属のワイヤーだけが高熱化してしまうという欠点があります。そうした点では、一般の窓ガラスよりも熱吸収率が高いために熱割れのリスクが高いガラスであると言えます。その他、金属のワイヤーが錆びるために小さな割れが発生するという問題もあります。

ところが、近年ガラスの分野も随分と進歩しており、従来のガラスの破片の飛散防止とガラスが割れにくいという両方の問題が解消されるような強化ガラスが市場には出回っています。例えば、自動車のガラスに利用されているような強化ガラスが挙げられます。とくに、自動車に利用するガラスの場合には、自動車事故でガラスの破片が飛散して怪我をするというリスクが、通常の窓ガラスよりも随分と高くなります。従って自動車の強化ガラスの場合、通常のガラスよりも3～4倍の強度があり、ガラスが割れた際においてもガラスが粒状に細かく割れるために、ガラスの破片で怪我をするという問題も解消されています。そうした意味では、強化ガラスの場合台風の多い地域にも適していると言えます。

ただし、安全性が強化されているだけのガラスでもあるので、防犯性能という面に関しては、ほとんど期待はできないでしょうね。また、2枚のガラスを張り合わせた複合ガラスの場合においても、台風などの際に万が一物が飛んできても、衝撃物が貫通しにくいというメリットがあるでしょうね。
研究：http://www.tech.eng.tohoku.ac.jp/sosiki/seisaku/seisaku3.html